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「栗」                               深澤友子


                                   
 日本人たる者、栗を食すのに、包丁で半分に切ってスプーンですくって食べるとは、何たること!
栗の正しい食べ方は、ちょっと歯でかじり切れ目を入れ、そこから手でもしくは、そのまま歯でスーとむいて、そのあと渋皮をむく。
運がよければ、まん丸のままで口にほおばれるし、運悪くばらばらになったものでも、あらかじめ下に敷いておいたチラシの上に、無残に散らばった栗をかき集めこれまた口にほおばるのである。
時に、渋皮が一緒に口に入ってしまったら、親指と人差し指で、もしくは中指でつまんで、他の人に見られないようにそっとそれを出す。
それが正しい日本の秋の栗の食べ方なのである。
そう思っていた。が、
昨年の秋、家人のために栗むきをしようと思いたち包丁を用意した。その時、どういうわけか今までのむきかたがとても面倒になり、なぜか栗を真っ二つに切って、スプーンを添えて出した。
と、良いではないか!
片手にスプーンを持ち、少々すわりの悪い栗の半分にもう片方の手をそえ、渋皮にそってスプーンを挿しいれ、最後の最後まで綺麗に食べることができた。
すごい!目からうろことはこのことなり!えらく感動したのである。
それを知った二年目の今年、栗が出回るのを今か今かと楽しみにしている私です。
いまや、この方法が一般的だと最近知り、新鮮な驚きに接しました。

同窓会にも、私の未だ知らないことがいろいろとあるのではと、そしてもっと学ばねばと、栗の一件を思いながら考えるこのごろです。

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