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納豆
                                  深澤友子

納豆大好き人間である。好物はと聞かれるといろいろあるが、長い間変わらないものが、カレーライスと納豆。お前は安上がりでいいよ、と周りからよく言われたものだ。
五人の姉弟の中で育った私は、家事分担が決まっていて、それが毎朝の納豆買い係りとなっていた。朝食前のまだ早い時間に、ナットォ~ナットッ、イトヒキナットッ。声を鼻から出して一回詰まらせるような、それはもう独特の声で、もう何十年経った今でも、ありありと覚えている。確か、五円か十円か持って下駄を引っ掛けて走りで出た。おじさ~ん下さ~い。ハァハァ。向こうももう知っていて、其の辻に来ると少し自転車の速度を緩めていた。ハイよ、海苔は?辛子は?一通り聞いてくれる。全部下さい。経木の薄ぺらいところに納豆と青海苔、辛子を添えいれ、クルクルと三角形に丸めて渡してくれた。
それを持って家に戻ると、母が用意していた大きなどんぶりにそれを入れる。今みたいにタレなんか無い時代、ねぎ、醤油、砂糖(嫁してから知ったのですが、納豆に砂糖を入れる家は少なかったらしい)を入れ、ちゃぶ台の真ん中にそれこそド~ンと、スプーンを添えて置かれた。温かいご飯にそれはそれは美味であった。
其の頃の習慣が私の中では未だ続いており、毎朝用に必ずスーパーでこだわりの三個入れのそれを買い、ねぎ、タレを入れ、あたたかいごはんに山盛りに乗せて、するっと一口食べた時のあの幸せ感を欠かすことなく毎朝味わっている。その味の感じ方で、一日の健康状態チェックにもしているのである。
オー、納豆のなんと偉大なことか。たかが納豆されど納豆なり。納豆万歳!の巻きでした。

さて、一月末に行われました同窓会新年会には、多くの同窓生の皆様とご来賓の方々のご出席をいただき、とても楽しいものになりました。ご協力に対し厚くお礼申し上げますと共に、今後とも何卒宜しくお願い申し上げます。

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