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電車で出あった高校生

                                    三澤禧美子 

 

わが同窓会は、母校蟻ケ崎高校から伸びた根っこのようなところに会館があるので、まるで母校の一部のような気がしているせいか、ぎんが祭や公開授業・四者協議ばかりでなく、なにかと生徒たちと接する機会が多く、このホームページの運営もコンピュータ部がしてくれています。そんなことで若い人達の感性に触れています。感謝感謝であります。

 

 高校生といえば、先日のこと、満員電車の中で押されてたどり着いたのは4人掛けを、短い足を投げ出して2人で占領している高校生のボックスの前。よく見ると、前の座席に放り投げたカバンはぺちゃんこ、何が入ってるんだか…、まぁカバンを持ってくるだけ可愛いか…おや、ピアス?高校生が?ふーん、そういうことを許している学校か…。

 「座らせて」とお願いする勇気も出ず、学校にまで八つ当たりしながら聞くともなしに二人の話を聞いていたら、突然「ブタがネコを産んだってさ」と言うので、その意外さにプッと噴き出してしまいました。彼らがチラッと私を見たので、ニッコリ笑顔だけでその先の話を促しました。でも、私の願いあは当然無視されて、彼らは沈黙。その後もチラチラとこちらを見る彼らにその都度、笑顔のお返し。

 そのうち驚くなかれ、伸ばしていた足をズルズルと引っ込めてシャンと座ると、前の座席に投げ出してあったカバンを手元に引き寄せて席を空けてくれたのです。「えっ?座っていいの?」と戸惑ったものの瞬時に思い直して「ありがとう」と座らせてもらいました。

 思いがけない展開に大先輩の教えてくれた「微笑みが微笑み誘う」とはこのことだったのかと思ったり、彼らの真意は何だったの?私の笑顔が変えた?と自画自賛したり…単なる偶然に過ぎないかもしれないけど、見た目じゃない、実は良い子たちだったんだなあ…と思いかえすのです。

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