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「風呂敷とカバン」                                  深澤友子 

 

得がたきは時、会いがたきは友、こんな一文が目に止まりました3.11。大惨事のありました本年、我らが母校蟻ケ崎高校は創立110周年を迎えました。その節目の年にこの場所に居る不思議を感じ入っております。 そんなある日、徒然なるままに筆を走らせておりました時に、頭に浮かびましたこと……和室と洋室、なんという違い…何にでも使える和室。朝、食卓を出してダイニング。上を片づけて勉強室。♪ピンポ~ン、来客には少し気取って応接室。お帰りになったら、残りのお菓子を食べながら家族でおしゃべり、リビング。外は真っ暗、さぁ時間だよ、卓袱台を片つけてお布団を敷いて、寝室。どんな用途にも使える和室。ところが洋室のそれは融通のきかない使途の決まったそれぞれの部屋。洋と和、その関係は風呂敷とカバンのようでもあります。中に入れるものの形・量の決まっているカバン。かたや風呂敷は、スイカでも一升瓶でも玩具でもどんな形のものも包むことのできる優れもの。何でも受け入れることのできる寛大な風呂敷。この、とてつもなく大きな、魅力的な同窓会というものを包み込む大きな風呂敷をひとつもちたいものです。それもカラフルでお洒落で素敵なそれを。柔軟な心と気持ちを添えて。

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